内容説明
オバマ大統領がノーベル平和賞を手にしている頃、政権は新たな戦争に着手しつつあった…前政権のイラク侵攻を批判していたはずのオバマ大統領。対テロ作戦によって、むしろ、世界各地で戦闘が拡大している現状を描く。
目次
自殺か殉死か?
統合特殊作戦コマンドを取り込むオバマ
野に放たれた統合特殊作戦コマンド
ネット戦士サミル・カーン
ソマリアの反発
アルマジャラの欺瞞
アンワル包囲網
ナーセルの手紙
ガルデーズの惨劇
無人航空機の年〔ほか〕
著者等紹介
スケイヒル,ジェレミー[スケイヒル,ジェレミー] [Scahill,Jeremy]
1974年生まれ。『ネイション』誌などで特派員を務める、ジャーナリスト。これまでアジア、中東、アフリカの各地からリポート。その海外報道に対して、ジョージ・ポーク賞を受賞している。ドキュメンタリー「Dirty Wars」は、サンダンス映画祭・国内ドキュメンタリー部門で撮影賞を受賞、アカデミー賞・長編ドキュメンタリー映画部門にもノミネートされた
横山啓明[ヨコヤマヒロアキ]
1956年生まれ。早稲田大学第一文学部演劇学科卒業。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
26
オバマ政権は国家機密の秘匿特権と国家安全保障の保護という主張を十全に活用し、殺害プログラムの詳細を国民の目から隠しつづけた(’10年160頁)。これは日本の特定秘密保護法に通じるものがあるかもしれない。ビンラディンは屋敷の3階で生活し、2階には息子のハリドが住んでいるとCIAの 見解が隊員に伝えられた(300頁)。オバマ大統領は殺害を命じたが、結構冷血だな、と当時は思ったのを覚えている。’11年殺害(309頁~)。2015/05/19
kog
2
トランプ政権誕生後、もはや良心の政治家のように神聖化された感のあるオバマだが、この本はオバマ政権化で秘かに拡大されたドローンによる無人機爆撃の実態などを告発する。「テロとの闘い」を錦旗として膨張し続ける「世界の警察」の欺瞞。中東やアフリカで拡大する無責任な介入。米国籍を持つ市民でも法的根拠なしに殺害する。これを慣例として、トランプに引き継ぐ恐ろしさ。謝辞の充実っぷりにも、きめ細かく徹底的な、そして命掛けの取材の証左が。本著は北丸雄二さんのラジオで知ったが、アメリカの気骨あるジャーナリスト魂に心底驚嘆する。2017/02/26
mdsch23
1
アメリカの指向する対テロ戦争が芽を摘むのではなく、芽になる前に摘む方向となり、無人機と有人の戦闘機や特殊部隊を組み合わせて目標となった人物のいる自動車や建物へのミサイル、爆弾の精密攻撃や特殊作戦部隊の投入という軍事作戦によって「テロ組織の指導者」を攻撃するようになっていく実態を追ったノンフィクション。無人機が911以降の米国の戦い方を変え、法律も押し流した感がありますが、本書を読むと押し流された後の「戦争」の論理がどのようなものであるか一端は理解出来たと思う。2015/03/06
キミ兄
1
司法によらず殺人が行えるのは戦争しかない。米国はテロとの戦いを戦争と捉えている。だから相手が米国人であっても殺害できる。しかしイスラム諸国はそもそも米国に対して何も悪いことはしていなかったことを思い出す必要がある。これは米国都合の戦争なのだ。2015/01/11
タキタカンセイ
1
「アメリカ」という国がどういうことをしているかが書いてある本。オバマも結局は「アメリカ」の大統領に過ぎないということがよくわかる。故岡崎久彦氏の口癖「アメリカについていけばいいんですよ」という言葉が改めて思い出されます。2014/12/31